共通テストでの古文漢文の必要性 〜国公立医学部を受けるなら、古文漢文は落とせない〜

はじめに

こんにちは、はじめまして。高上の国語講師をしている、元静岡県民・現北海道民です。ペンネームは『しがない北海道民S』と申します。今回は徹頭徹尾ガチガチの文系の私が、理系の学生さんがどうしてもおろそかにしてしまいがちな共通テストの国語について、その重要性と、効果的に点数を伸ばす方法をお話ししていきたいと思います。

 

国語を笑う者は、国語に泣く!

医者になりたいなら国語の勉強をせよ。当たり前の話です。国語一つで数学と同じ200点もありますし、魚芳(うおよし。2020年度センター試験国語 大問2の登場人物)の気持ちに近いものを当てるだけで8点です。数学で、大変な積分計算をしてもたった4点にしかならないのに。

共通テストにおける点数配分を見れば一目瞭然ですが、それくらい国語は、国公立医学部を受けるためには必要な科目です。端的に点数をあげたければ古文漢文の実力を確固たるものにすることをお勧めします。現代文は人によっては、成績を上げてかつそれを安定させるのが大変な科目なので、まずは『古文単語&文法事項』を固めてしまえば共通テストで9割以上は堅い古文と、『漢字の読み&句形』を覚えてしまえば9割以上は確実に見込める漢文が狙い目です。考えてみれば、共通テストの国語の配点は現代文100点、古文50点、漢文50点。つまり、200点のうち半分は比較的容易に満点近い得点率を狙えるわけです。数学では、数学IAとII B100点ずつで200点ですが、どちらか一つでも満点近い点数を取るのは生半可な勉強量では不可能だというのに。

 

『古文単語と文法事項』を制する者は、共通テストを制す!

まず、古文についての総評です。共通テストの古文の問題は、現代語訳の問題が3問、文法問題が1問、傍線部の解釈が3問、そして新傾向問題として二つの資料を読み比べた上での総合的な理解力を問う問題が2問、という問題構成になっています。年度によって増減はあれど、これが基本的なセオリーです。これらのうち、現代語訳3問と文法問題1問は純然たる知識問題です。古文単語と文法事項に対する知識がなければ解けない問題です。裏を返せば、古文単語と文法事項さえ覚えてしまえば確実に得点することができる箇所であるということができます。この4問の配点は(例年のセンター試験準拠で考えるならば)21点。50点満点中の21点、つまり実に42%が、知識があれば得点を保証されている(=知識がなければ得点できない)のだということがわかります。

「古文単語や文法なんて勉強しなくっても、“なんとなく”読めるし」という考えがいかに甘くて危険なものであるかおわかりいただけたかと思います。

次に、傍線部の解釈3問についてです。当然ですが、傍線部解釈の問題とはそもそも、今更取り立てて説明するほどのことでもありませんが、その傍線部の意味がわからなければまったく歯が立ちません。さあ解釈の問題だ、“なんとなく”読めるだろう、などと舐めてかかり、ロクに古文単語や文法の知識も身につけずに勇み足で挑んだが最後、そもそも傍線部の内容がわからずにあえなく撃沈、なんてことになりかねません。また、“なんとなく読み”では選択肢をひとつに絞り切れないという恐れも非常に高くなります。その結果2分の1の確率で間違える、などという可能性も高くなる。

傍線部解釈の問題の中には、キーワードとなる基本的な古文単語の意味さえ正確にわかっていれば難なく選択肢をひとつに絞れるものもあります。いわばサービス問題です。そういった言わば点取り問題を、国公立医学部を目指そうとする皆さんが、単純な知識不足で落とすなどあってはならないことです。もったいないなんて言葉では済まされない。死活問題です。その1問が合否どころか、そもそもの受験資格をも左右するかもしれないのです。もちろん、問題文全てを全訳しろとは言いません。そんなことをさせてくれるほど共通テストの国語は時間的に余裕があるわけではないですし、なによりほとんど無意味です。

しかしながら、「古文単語と文法事項の十分な知識さえないまま“なんとなく”読む」ことと、「古文単語と文法事項を盤石にした上で“なんとなく”読む」ことには天と地ほどの隔たりがあります。同じ“なんとなく読み”でも、古文単語と文法事項を盤石にした上での“なんとなく読み”は、すみやかに文章の8.5〜9割ほどの流れを正確に捉えられる、という点において、速く正確に問題を解くことが求められる共通テストの国語では計り知れないアドバンテージになります。10分かそこらで確実に45点以上獲得することもまったく夢物語ではありません。現に筆者も、本番のセンター試験で古文にはわずか8分ほどしかかけませんでしたが、50点(満点)を取りました。もちろん全訳なんてしていません。私がしたことはただ、『日頃の勉強で古文単語と文法事項の知識を盤石にし、本番では“なんとなく”読むこと』だけです。

さて、ここまでさんざん『古文単語と文法事項の知識の重要性』を強調してきました。ここまで読んでいただけたならば、それがいかに大切なものであるかおわかりいただけたかと思います。古文の肝をわかっていただいたところで、次は漢文の総評に移りたいと思います。

 

『漢字の読みと句形』を制する者は、共通テストを制す!

漢文についてです。実は漢文については、古文についてより語ることは圧倒的に少ないです。なんといっても暗記の総量が違います。漢文の問題には、ほとんどの場合親切な(あるいは親切すぎて逆にうっとうしいほどの)注がたくさんついています。的確な注が少ない古文ならいざ知らず、漢文でまったく文章の意味がわからず戸惑った、という方は少ないのではないでしょうか。基本的に、皆さんの頭を悩ませるのは漢字の読みの問題&書き下し文ではないでしょうか。

共通テストの漢文の問題の内訳を見てみましょう。まず、漢字の読み問題が2問。書き下しの問題が2問。そして、文の理解を問う問題が3〜5問。共通テストでは、文の理解を問う問題の質と量が増えるだろうという予測がされています。このうち、純然たる知識問題は4問。これらの点数配分は16点。おおっ。古文と比べてみれば全体に占める割合は低いですが、それでも無視できない比率です。なにせ32%。決して放っておける点数ではありません。

さて、漢字の読みについてですが、これには2パターンあります。1つは『知らなければできない』パターン、もう1つは『知らなくても前後の文脈から推測できる』パターン。大半は後者にあたります。それもそのはず、高校で教える義務のある漢字なんて、漢文で使われている漢字全てのうちの2割にも満たないからです。共通テストでは、学校で習っていない知識を前提とし、それが身についていなければ解けないような問題は出されません。裏を返せば、学校で習っていない知識を問題として設定する場合には、必ず工夫次第で解けるようになっている、ということです。というわけで、漢文における漢字の読み問題で確実に得点できるようにするために必要なことは辞書をしらみつぶしに読むことではなく、漢文を読むことに慣れて前後の文脈からその読み(および意味)を推測できるようになることです。もちろん、高校で教わった漢字の読みを完璧にマスターすることは言うまでもありませんが。

次に書き下し文の問題についてです。これには、句形がいくつも絡んでいます。否定形、疑問形、反語形、詠嘆形、願望形など・・・・。あと、当然忘れてはいけないのが再読文字。『未』、『将』、『当』、『応』、『宜』、『須』、『猶』、『蓋』・・・・この中で、ひとつでも読み方または訳し方が曖昧なものがあれば、悪いことは言いません。このブログを読むのをいったん中断して今すぐに辞書なり参考書なりで確認するべきです。そのくらい、再読文字は頻出です。問題文の中にひとつも含まれていない年度を探す方が難しいくらいです。センター試験の過去問20年分で1回もなかったかもしれない。とにかく、句形の中で重要なものは数多くあれど、最もうっちゃってはいけないのが再読文字です(うっちゃる=筆者の出身地:静岡県の方言で、『放っておく』の意味)。そして、書き下し文の問題を解く上で必要不可欠なのが句形の知識です。つまり、句形の知識なしでは書き下し文の問題は解けないということです。また、問題を読み進める上でも支障が出ます。このように、漢文の問題を解く上で重要なのは『漢字の読み&句形の知識』であるということがおわかりいただけたかと思います。

さいごに 〜意志あるところに道は拓ける〜

最後に再三強調させていただくと、古文と漢文は共通テストの国語で点数を伸ばす上で肝となってくる分野です。200点のうち半分を古文・漢文が占めていることを思えば、それは当然といえます。そして、古文の得点を伸ばす上で肝となるのは『古文単語&文法事項の知識』、漢文の得点を伸ばす上で肝となるのは『漢字の読み&句形の知識』です。

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