8割取っても受からない。国公立医学部受験の闇。

みなさんこんばんは。高上代表佐藤一行です。本日は、国公立医学部受験の現実をお知らせすべく、去年度高上に通っていて、ある国公立大学の医学部を受験し、ほんの少しの差で落ちてしまった生徒の得点開示を公開いたします。(個人情報と大学名は伏せています。)

まずはこちらをご覧ください。

面接を除いた個別学力検査(二次試験)において、8割を超えていることが見て取れるでしょう。484/600ですから。

これはかなり高い点数です。

二次試験で8割を取るということ。

7割と8割は決定的に違います。国公立の医学部受験は厳しいもので、問題がかなり簡単な場合、7割とっても落ちることはあるにはあります。私も過去にそういう受験生は見てきました。しかし8割となれば話は違います。私はこの業界にかなり長く携わっていますが、共通テストでボーダーライン付近にいる場合、二次試験において、たとえ問題が簡単であっても8割は合格確実圏であると認識していました。

正直なところ、共通テストでボーダー付近におり、二次で8割を取っていて落ちたという生徒はこの生徒が初めてでした。確かに理数系は、8割を超える闘いになることは医学部受験ではあるにはあります。典型問題が多く出た場合はそのような勝負になりがちです。しかしここで大事なのはこの生徒が英語の筆記試験においても8割を取っているということなのです。

英語で8割を取るということ。

英作文を頑張らなければいけません。和訳だって、減点されにくい訳を書かなければいけません。最後の問題まできちんと納得の行く答案を書かなければいけません。そのためには、それ相応の語彙力ときちんとした解答作成能力がなければ、筆記試験で8割という数字はでないのです。ただし、私はこの生徒を見ていて、英語で8割取ったと聞いても驚きはしませんでした。直前期、それくらいできていたからです。私が驚いたのは二次試験で8割を超えていたのに落とされたという現実です。

勿論面接の点数が伸びていない。

結局は面接で点数が伸びていないのです。半分しか取れていない。これは大学側からのはっきりとした

「本学には来ないでください」

という意思表示に他なりません。話を聞くに面接では特に圧迫されることもなく、

『普通のことを聞かれ普通に答えただけ』

との話でした。しかし、肝心の

『医者になったらここに残りたいか?』

に関する質問がなかったは落とし穴でした。その場合、質問されていなくても、

『私は大学を卒業したらこの場所で医者になります』

との意思表示をすべきだったのです。

生徒の意思はどうだったのか。

奇しくも、全く尋ねられなかったので、伝えられなかったようですが、実はこの生徒、この大学の場所が大好きで、医者になったらここで働くと言っていました。もちろん私はこの生徒を見ていましたから、嘘など言っていないことは十分わかっておりました。しかし、その意思を面接において尋ねられることもなく落とされてしまった。二次試験直後の本人の手ごたえを聞いていた私は、合格を確信しておりましたので、生徒、生徒のご家族とともに非常に悔しい思いをしました。

確実に存在する地域差別。

大学側の意見としては、

『せっかく医者になっても、ここには残らず、地元に帰ってしまうのでは入れたくない』

という物でしょう。医者1人を育てるにはかなりのお金も指導も設備も必要ですから、医師として働いてくれないのであれば困るというのは確かに理解はできます。

しかし、それであれば、地域枠(医学部を卒業後その大学のある地域で数年間働く義務が生じる医学部入試)をもっと大きくして、最初からその意思を確認すればよい。

一般入試において、生徒の出身地を理由に、面接の点数を大きく下げるということをするのであれば、それは懸命に努力してきた受験生に対する裏切りであり、差別と言わざるを得ません。

地域枠ばかりにしては入試で人が集められず、入試という大学にとってのお金儲けもできませんから、そういった理由もあるのではないか?とまで思ってしまいます。

大学側は毎年優秀な受験生を目の当たりにしているので、当たり前に感じているのかもしれませんが、その学力の裏には、一人一人の懸命な努力があることを忘れるべきではないのです。

8割以上を目指させるべきか。

ここまで読むと、もっと点数を取れば受かったのだからと思う人もいるかもしれません。しかしそれはあまりに安直です。共通試験を乗り越えて、更には二次試験において英語も含めて合計で8割を取るというのは、相当な努力がなければできないことなのです。私は受験生の頑張っている姿を普段見ているからこそ、簡単に

「もっと勉強をして点数を取れ」

という話は決して言いません。もうすでに頑張っている受験生であればなおさらです。

「よく頑張っているな。」

とその努力をきちんと認めます。

『能力があって、努力もしている受験生が落ちるのであれば、それは指導する側の責任である』

と思っているからです。

それではどうすべきだったのか?

出身地を理由に面接で大きく減点される以上、この大学は受けさせないのが得策だったと言えるでしょう。この受験生が受ける前は、多少の面接点による減点はあっても、二次試験で8割を超えても落ちるほどのものではないと思っていた私は、認識が甘かったのです。生徒がこの大学を受けたいと言ってきたので、GOサインを出して、この大学の傾向に沿った問題を沢山作成して、直前期に演習させたのもすべて私ですから。

今後、このような受験生が高上から出ないようにするためにも、生徒の出身地と、その大学の面接点の傾向はもっと徹底的に把握しておき、保護者の方ともきちんと情報を共有するつもりです。

もちろん、この大学に関してはここで名前を挙げたりはしませんし、今後ブログでこのことについて触れることはありません。

ただし、これを読んでいて、道外の医学部受験をしようと思っている方は、その大学の一般入試における実態は把握しておいた方が本当に良いです。

高上の優秀な元講師たちは、今や医者になり、どんどん道外へと羽ばたいています。そのような観点からも、高上は受験生にきちんと8割を超えさせる力をつけるだけではなく、国公立医学部の入試実態も把握している塾になったと言えるでしょう。現役の医者が実際に手に入れられる情報と、壱受験屋が手に入れられる情報にも開きがありますからね。

闇雲に努力していても不安が募ります。ご不明な点は、遠慮なくお問い合わせください。3000円の体験指導も随時実施しております。しつこい勧誘などは一切ございません。

追伸。この生徒について。

さて。ここまで読んで、この生徒がどうなったのか気になる方もいるでしょう。この年に私立の医学部には複数合格しておりましたが、本人は高上のある札幌を離れ実家から通える医学部専門の塾で一年間受験勉強をしました。

去年の段階で上記の情報を公開できたはずなのに、私がそうしなかったのは今年度のこの生徒の受験がきちんと実を結ぶまでは公開するのは不適切であると考えていたからです。それを今こうして公開しているということは、もう答えているようなものですね。

高上の生徒ではなくなっても、私は嬉しかったです。

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