落とし穴~2023年度 第二回英検1級 筆記試験の合否発表を終えて~

英検1級の1次試験の合否発表があった。

先日、2023年度実用英語技能試験の1次試験の合否発表が行われました。今回はその試験の分析と、受験者や次回受験を考えている皆さんへのアドバイスについてお伝えしようと思います。

語彙問題について

まず、語彙問題に関して、2つ興味深い内容が出題されました。例えば、警備員が泥棒を見てみるふりをしたという21番の問題や、卒業後の進路について仰々しく話していたのに、実際には実家に帰って仕事を探すというだけといった内容の23番など。

しかし、全体的に見て、以前の英検1級の語彙問題よりも、やや簡単だったとの印象を持ちました。例えばパス単をきちんと勉強していれば十分合格点は確保できたでしょう。

読解とリスニング

読解やリスニングについても、特に難易度が高いと感じる部分は少なかったように思います。読解は目新しい出題はなく、リスニングに関しても、ききやすかったように思います。空港勤務のある人へのインタビューなど、今の時代空港での英語は良く問われますから解き易かったでしょう。

潜んでいた落とし穴。

しかし、ツイッターにて、多くの受験者の点数を見ていて、私は違和感を感じました。英作文に関して、です。私自身はTikTokの動画などで、『英作文は英検における得点源である』と度々話してきました。しかし、今回不合格となった多くの受験者の中で、英作文の得点が伸び悩んでいることが明らかとなりました。

その理由を詳しく見てみると、今回の英検1級の英作文は、やや難易度が高いと感じる内容でした。

「生活保護は社会の不平等を軽減しているでしょうか」

というテーマについて、英語での回答が求められました。特に、”social welfare”という英単語が生活保護を指していることを知らない場合、答案が大きく外れる可能性があったのです。単に社会福祉のことだと思っていては回答がやや的外れになり、ぼやけた答案になってしまったでしょう。

日本語で問われた場合を想定してみよう。

先日もデモ行進によって話題になっていましたが、生活保護に関する問題に対して、興味や知識が乏しい受験者にとっては、自国の言語での回答ですら難しいと感じるものだったのではないでしょうか。そのため、英語での回答はさらに困難に感じたことでしょう。

英検1級の英作文で失敗する理由

繰り返しに増しますが、social welfare という言葉が生活保護を意味しているという認識が不足していたため、多くの受験者が論点を誤ってしまったと予想しています。例えば、生活保護と高齢化の問題と結びつけて回答した場合、それだけでは高得点を期待するのは難しいでしょう。生活保護は、高齢者だけでなく、経済的に困難な若い世代にも関わる大きな問題だからです。

生活保護に対する意識や知識が日常的に乏しい受験者にとっては、限られた試験時間での回答が難しいものであったかもしれません。英検1級の英作文は、時に非常に狭いトピックを深く問うため、受験者にとっては当たり外れが大きいのです。

過去の試験で出題された「宇宙開発費用に多額の政府資金を使用することは有効か」というような問題を考えると、多岐にわたるトピックに興味を持ち、情報を収集することが望ましいと言えますが、これは現実問題英検1級レベルになると難しい受験生が殆どでしょう。

さらに、試験戦略も重要な要因となってきます。私はTikTokで、英作文は試験の最初に取り組むべきだと提案してきました。この戦略を採用した受験者は、問題なく解答できたかもしれませんが、前の問題から順番に解いていった受験者にとっては、最後の問題がこの英作文であれば、時間内での完答は非常に難しかったと思われます。

まず、読解問題の文章を英作文に直接使用する方法に関して考えてみましょう。この方法は有効であると誤解されることがありますが、実際には逆効果となることが多いです。試験作成者はこのような手法が使われていることはすでに意識して問題を作成するため、読解問題と英作文の関連性は極めて低くなるのは当然です。今回もその例に漏れていませんでした。

チャットGPTの英作文採点機能とその課題

次に、チャットGPTの英作文採点機能について。このAI技術によって、非常に高精度な英文採点が可能となりました。しかし、多くの受験生が日本人特有の英作文の誤りを犯していることが指摘されています。これは、基本的な英文作成能力の欠如や、適切な英作文の対策が分かっていないことが主な原因です。

英作文でとにかく点数を取るために。

英作文の成功の秘訣: 社会的な話題の取り扱いと論理的な英文の構築

英検1級の英作文では、社会的な問題についての論述が求められることが多いです。そして世の中問題にかかわることは十中八九お金です。金銭や時間に関わるテーマが出題されるというよりも。出された話題の論点を意図的にお金に関する問題話にするのです。

実際の生活保護の問題を考えてみましょう。生活保護受給額と年金の比較、それに伴う社会的な不平等の増進、働かないという選択の精神的影響など、多岐にわたる観点から英文を書くことも可能ですが、やはりお金に関して述べるのがもっとも書きやすいのではないでしょうか?

総合的な対策。

それではここからもっと総合的に英語の地力をあげる方法を述べていきます。

英検1級では、一部の人から「使われない英単語ばかり」という声もありますが、実際にはアメリカ人向けの英語ニュースなどで普通に使用される単語が多いのです。これは、英語学習においても生の英語を習得することの重要性を示しています。

これを読んでいる多くの方が一般的に思い浮かべる「英語の学習」とは、参考書や単語帳を手に取り、読解問題を解いたり、英作文を書いたりするイメージが強いかと思います。しかし、これだけでは非効率であったり、十分な効果が得られないことが多いのです。

なぜなら、英検1級の2次試験、口頭試問でも必要な、現実の試験や実際のコミュニケーションの場面で必要とされる能力は、教材だけでは身につけにくいからです。特に英検1級のような試験になると、その差は歴然。実際の試験での出題内容や、それをどう攻略するかが非常に重要となります。英検1級に関しては、パス単をきちんと仕上げることは必要ですが、それだけにならないように意識しましょう。

近年、YouTubeなどのプラットフォームが登場し、実際の英語をネイティブの発音で無限に聞くことが可能になりました。特に、TED TalksやCNNニュースなどの質の高いコンテンツは、現実的な英語学習の一助となるでしょう。

これによって、実際の英語のリズムや発音、文化的背景などを学ぶことができ、英語の感覚を養うことが可能となります。毎日の習慣として、最低1時間の英語動画視聴を取り入れることで、効果的な学習が期待できます。

実際の英語圏のニュースや文献を利用することで、現実的な英語の使用法や表現を習得することができます。NHKのニュース7など、日常の出来事を英語で知ることで、英検1級の出題傾向や社会的な背景を理解するのに役立ちます。

高上でできること

私たちの家の塾では、中学生の英検1級合格者も輩出しており、生徒一人一人にあった指導に自信があります。2次試験対策も得意としており、一人一人の状況に応じた指導が可能です。英語の講師はみな英検1級を取得しております。CHATGPTという革新的な英語学習ソフトが広まっていても、英作文を書くまでもなく、英検1級におおよそ合格でいない場合、その最大の理由は結局は語彙力不足かリスニング力不足につきます。高上では、そのどちらの問題にもきちんと対応して行けます。それはCHATGPTのようなすぐれたソフトにもできないことなのです。

最後になりますが、私が英検1級に合格した時は今のようにYOUTUBE上に無限に生の英語が存在したりはしていませんでした。なので、今の時代に英検1級合格を目指す皆さんは恵まれていると言えるでしょう。伝統的な学習方法だけではなく、上記に述べた方法を最大限に活用し、効果的な学習を心がけてください。そして、何か困ったことや質問があれば、私たちの塾までお気軽にご相談ください。あなたの成功を応援しています!

高上代表 佐藤一行

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