みなさんこんばんは。高上代表 佐藤一行です。もう札幌だけコロナの緊急事態宣言による自粛要請が三か月近くになりますが、いかがお過ごしでしょうか?本日は、2020年大学入試において、おそらくは北海道の私塾からは唯一であろう、慶応大学の医学部医学科の合格者が出ましたので、その指導録を記します。高上の力が本人の粘り強い努力により、いかんなく発揮されたと言えるでしょう。

慶応大学医学部医学科の難易度とは

私立で最も難しいです。これは文系理系問わずのことで、頂点に立っていると言えます。それもそのはず、数学などたったの100分であれだけの分量(大問4つ)をこなさなければいけませんし、物理はまだ点数が期待できるとしても、化学において通常の受験生は見たこともない知識を扱う問題が出ることもしばしば。英語は高上の医学部狙いの生徒にとってはそこまで難しいものではないにせよ、一般的な受験生は言わずもがな、普通の医学部狙いの学生にもやや荷が重いといった内容です。数学は、今から5年ほど前、大学の範囲をそのまま説明付きで出題して、話題となった記憶もあります。そしてもっと端的に言えば、以下の事実がすべてを物語っているでしょう。

理Ⅲに受かる学生でも落ちることさえある。

私は、東大理Ⅲ合格者が天才などとは全く思いません。天才などというのは京大の望月教授のような人を形容するのにふさわしい言葉であって。日本の大学受験において、優秀な学生が理Ⅲに合格したと言え、英語一つとってみたらそんな東大生たちもまだまだ改善点はあるでしょう。そもそも東大入試の英語は日本人が手を加えて読みやすくした英文であり、本物の英語の原文でさえありませんから。

そんな私ですから、買いはしませんでしたが、少し前には理Ⅲに入った天才たちという本が毎年売っていたもので、立ち読みをしては、慶応の医との対比が妙に目についたものです。理Ⅲに合格した者が、慶応の医にも受かっているのかということ。確かに両方に合格している秀才は多いですが、中には一定数、慶応の医には落ちて理Ⅲにだけ受かる学生はいたようです。

とりあえず、私にとって英語を指導するのは難しくはないけれども、数学は、あの制限時間で解けるように導くのは大変なんだろうなぁと思っていました。

そんな折、私は、慶応の医を志望するAさんに会ったのでした。去年の5月のことでした。そう、ほんとうに今の時期から少し経ったくらいですかね。

最初に伝えたこと~自分の言葉に責任を持っているから。

私は受験に関し、自分の言葉には責任を持っています。本人の能力とかけ離れ、遥か高い目標を設定しており、到底合格が無理な場合、その旨保護者の方に正直に伝えています。結果、反感を買ったことは一度や二度ではありません。

Aさんが目指すのは慶応の医。能力的に狙える位置には居る。しかし、もちろん簡単なことではない。だからこそ、私は初対面で数学の体験指導を受け終えたAさんにこう言いました。

「私には君が指導を受けてきた、札幌では有名な受験数学の先生たちのような数学の能力はないよ。ただし、私は君の数学の成績を、他の誰よりも上げられる自信はあるよ。」と。

数学の性質上、他人の解説を聞いていても計算力など付きませんし、定義だって数学的な発想だって定着しません。数学の成績を伸ばすのに必要なことは、本人の演習であって、そのために必要なのは静かな教室と、本人にあった良問です。私は、指導することよりもいかに本人にあった問題を選ぶか、つまり問題の選定の方が大事であるとさえ考えています。結局、高上では、数学の問題を解くのは生徒本人ですし、本番ではたった一人で問題と対峙することになるのですから。

私は、入塾を決めたAさんのレベルにあった問題を取りそろえ、どんどん演習させていったのでした。根も出さず、一心不乱に問題に取り組み続けるAさん。数学の力がつく生徒というのは、この問題に向かう姿勢が素晴らしい。時間内に解けなかった問題に関しても、私が解説をするまでもなく、自分で解答を読んでどんどん理解していく。ただ、Aさんのすごさはここにとどまらないのでした。

他の受験生とは大きく異なる得意分野。

Aさんを指導していて、少しして気付いたのですが、他の受験生と得意分野がかなり異なっていたのです。

図形、整数、複素数。はっきりいって、通常、受験数学の中で、受験生が嫌う三大分野といったとこでしょう。

図形は定型的な解法には当てはまらない問題が多々あります。

整数は、古くから研究されており、題材が豊富で上位校で出題される問題は、受験生には見慣れないものばかり。

複素数は、加法、減法、除法、乗法4つの計算とその図形的意義を把握する必要のある分野。

この3つすべてが強いのです。難問になればなるほど目を輝かせたAさん。簡単な問題だと、思わぬミスもしがちなAさん。

私は標準問題と、ややむつかしい問題をうまく組み合わせ、毎回部下と協力してプリントを作成して授業に臨んでいたのでした。

プロとして生徒一人一人に解かせる問題の選定は非常に大事になります。受験本番までの限られた時間の中でどの問題を解くのか。演習をきちんとするのは当たり前として、合格できるかどうかはどの問題を解くかによって決まるとさえ言えるでしょう。

他の科目はどうか?


英語に関しては、私に習っていたので、英検準1級には夏の段階で余裕で合格。物理や化学に関しても、講師の人選には苦労しましたが、結局きちんとした人材を選び、演習をさせ、優秀な部下の協力の元、学力を安定させることができました。

繰り返しになりますが、やはりこちらも基本は演習です。数学の解答プリント制作者が、物理と化学の問題の選定と解答プリントの作成も引き受けてくれました。

この講師、受験生時代、駿台の全国模試において物理で偏差値80をこえただけあって、非常に力があります。

医学部生ですから、自身の勉強も忙しかったであろう中、非常によく指導してくれました。

こうして演習を軌道に乗せることで、Aさんの地力は確実に上がっていき、秋には、私が事実上の慶応医学部模試と位置付けている河合の医進模試を受けることになります。

河合塾 医進模試とは何か。

河合の医進模試は、私立の医学部は慶応しか書くところがありません。他の私立の医学部の判定は出したくても志望校として出せないのです。コード表に載っていませんので。そして問題も非常に難しい、かつ慶応の医学部に即した問題となっており、漸化式と極限など慶応の医で頻出の問題を多く取り揃えられています。Aさんは高上の演習と、その高い能力、そしてマーク形式への適性から、この模試においても非常に優秀な成績を収めることができました。

それでもそうやすやすと事が運ばないのが医学部受験というもの。やはり私にもAさんの様々な葛藤が見て取れました。

そんな折、私はAさんに一度だけ、厳しめのことを言ったのです。

「Aさん。私は君のような優秀な生徒に指導できてとてもうれしい。それでも私は君に高上に来てくださいなどと頼むつもりはないよ。」

と。

いろんな葛藤を持つAさんに対して、あくまでも自分の意思で勉強をするものだと言うことをわかってもらいたかったのです。

Aさんはそれに対して特に何も言いませんでしたし、私もそれ以降Aさんにこの話を聞くことはしませんでした。ただきっとわかってくれたのでしょう。高上のある札幌を旅立って、慶応の医学部に合格するまで頑張りぬくことができたのですから。今年の問題は、数学が慶応の医学部にしては妙に簡単で逆に心配したものです。

慶應医学部の合格を知って。

嬉しかったです。私は。率直に。今はまだ札幌でおそらく最も小さいであろう高上。たった1つの小さな個別教室しかない高上。それでも、わずか三回受験生を送り出しただけで、東北医科薬科の医学部から始まり、次の年に北大の医学部、そして今年は、札医の医学部だけではなく、ついには慶応の医学部にも合格者を出せたのですから。

最初、私が勇気をもって言った言葉に嘘偽りなどなかったのです。この仕事において、辛くてあきらめた経験など私にはありませんが、他の案件において、高上の方針に賛同を得られないことはそれなりにあった2019年度、やはりこの結果は嬉しかったのです。

振り返ってみて。

結局は演習がすべてだったと言えるでしょう。英語においても。数学においても。物理においても。化学においても。結局は本番では誰も助けてくれません。自分で解かなければいけないのです。その勝負から逃げださず、ひたむきに問題と対峙し続けてきたAさん。難問との出会いに、臆するどころか、目を輝かせていたAさん。もしこの文章を読むことがあったら、今一度、私はAさんに言いたいです。

「合格おめでとう。やっぱり君を指導できて嬉しかったよ。立派な医者になってね。」

と。

鬱屈としたコロナ禍において喜びに打ち震える経験を私ができたのはAさんのおかげです。

今後のAの繁栄を願って。

高上代表 佐藤一行