北大AO入試合格体験記・理学部数学科

高上に務める講師の合格体験記となります。

北大AO入試について

こんにちは。私は2022年度にAO入試を経て北大理学部数学科に入学しました。そんな私の受験について書いていきます。

そもそも北大のAO入試について知らない人も多いと思うので理学部数学科を例に簡単に説明していきます。

まず第1次選考では調査書、個人評価書、自己推薦書によって選考していきます。

第2次選考では

共通問題(数学)150点分、

選択問題(数学)300点分、

口頭試問(数学に関する質問)150点分

の計600点満点による成績によって選考され、12月に合格が決まります。

実際の成績

参考までに私の成績を載せます。

筆記試験 410点

口頭試問 139点

計 549点(91.5%)

順位 3位

北大理学部数学科を目指した理由

私が北大の数学科を受けようと考えた理由は、ある程度レベルの高い環境で数学ができると思ったからです。私は小学6年の頃から数学者になるのが夢であり、それを叶えるためにはある程度レベルの高い環境があったほうが良いと思っています。これと数学のみで受けられることから北大数学科の受験を決めました。

実際の勉強方法

高2の頃

私は高校時代塾や予備校などには通っていませんでした。塾に行かなかった理由は単純で親にあまり負担をかけたくなかったからです。

そのため、高2の段階ではまだ数IIIが終わっていなかったので既習範囲の復習や演習をメインにやっていました。この時期にメインで使っていた問題集は東京出版の月刊大学への数学とホクソムの大学入試問題解答集と河合塾シリーズのやさしい理系数学、ハイレベル理系数学です。そのほかにも一橋大学や東北大、東工大などの過去問も解いていました。各問題集をどのように使っていたかについては後ほど説明します。

このように高2にしては周りよりややレベルの高い問題集をやっていましたが、この頃はまだ実力が身についておらず、駿台模試では数学の偏差値が60前半くらいしか取れていませんでした。ですがここで挫折せずに勉強を続けた結果が高3になってから現れてきます。

高3の1学期

高3の6月に数IIIが終わったためここから本格的な問題演習がスタートします。この頃メインで使っていた問題集は河合塾シリーズのやさしい理系数学、ハイレベル理系数学と東京出版の新数学演習と数研出版のスタンダード数学演習、オリジナルスタンダードです。過去問は一橋大学、東北大、東工大、名大、京大などの問題をメインに解いていました。

この頃には少しずつ実力が身についてきて、

東北大本番レベル模試で数学偏差値73、名大オープンで数学偏差値78、東工大本番レベル模試で数学偏差値71、駿台模試で数学偏差値79

などが取れるようになりました。

また、高3になると周りも部活を引退して受験モードに切り替える人も多かったため、私は友達と毎日高校の図書館が閉館になるまで勉強してその後家に帰りご飯を食べてから9時まで勉強をしていました。この頃はまだ東工大志望だったこともあり、勉強時間の大半は数学、物理に費やしてました。

高3の夏休み

高3の夏休みは受験勉強をより習慣化するために朝8時から夜9時まで学校の図書館や家で勉強していました。また、勉強の休憩も兼ねて夜はスマートフォンを見ていました。このときに北大のAO入試の存在を知りました。東工大志望とはいえ、数学以外に安定して得意と言える科目がなかった私にとってこれはチャンスだと思い受験することを決めました。

高3の2学期から受験まで

北大の受験を決めたので2学期からは勉強時間の大半を数学のみに割きました。今思えばやや危険ではありますが数学が1番の武器であった私にとってはこれ以上のチャンスはなかったのでここでの決断によって良い方向に進んだのでよかったです。1次選考の結果が11月頃に出て、無事2次選考まで進んだのでここからは毎日北大の過去問をセットで解いていました。最終的に前期5年分、後期15年分ほど解きました。

受験前日から受験当日

受験前日は新しい知識を入れようとしても不安になるだろうと思っていたのでまとめてあったノートを振り返ったり解いた問題の解答を見直すことに専念しました。

受験当日、いつもより少し早く起きてしまったので音楽を聴いて心を落ち着かせていました。朝ごはんを食べて受験会場についてからはテストが始まるまでまたノートを振り返ってました。テストは共通問題、選択問題、口頭試問の順で行われます。

まずは共通問題。これは簡単な計算問題が15問ほど出題され、試験時間は1時間です。これは受験勉強をしてきた人にとっては簡単な問題ばかりなので20分で解き終え、残りの時間は何回も計算をし直してミスがでないよう心がけました。

次に選択問題。これは大問が3問で試験時間は2時間です。試験開始と同時にまず全ての問題に目を通し、方針が立ちやすくかつ計算が複雑でなさそうな大問3から取り組みました。これは20分ほどで完答して次の問題にいきました。大問1と大問2は計算量も難易度も同じくらいだったため大問1から順に解くことにしました。これも実際に解いてみると単純な問題で40分ほどで解き終えました。最後に大問2を解きました。この問題もそこまで複雑ではないはずなのですが途中から答えが合わなくなりどこかで計算ミスをしていることに気づきました。5回ほど見直してもミスが見つからなかったので1度他の大問の見直しをすることにしました。このとき大問1で細かいミスを見つけたのでここを修正しました。実際にはもう一つミスをしていたのですが見直しの段階で気づくことができなかったです。残り10分で他の大問の見直しも終わったので再び大問2の見直しを始めました。すると問1でミスをしていることに気づいたのでギリギリで問3まで解くことができました。

選択問題が終わり口頭試問が始まるまでやや不安がありました。というのも北大の(より正確には数学科の) AOがこの年からスタートしたので周りの受験生がどのレベルなのかが全く予想できなかったからです。そのように不安を抱えながら待っていると私の番がきました。口頭試問ではまず別室に移動して最終問題以外が配られ、約15分間解答を作る時間が設けられています。その後口頭試問の会場に移動して黒板や口頭で各問に答えます。別室で配られた問題が終わった後、最終問題が口頭で告げられるのでそれをその場で答えます。私が受験した年はx^αの微分に関する問題が出題されました。より細かく言えば関数f(x)のx=x_0における微分係数f’(x_0)の定義、(x_0+h)^nの二項展開などが出題され、最終問題ではαが負の整数のときのx^αの導関数を定義に基づいて求める問題が出題されました。私は最終問題を除いて完答し、最終問題は方針のみを述べて終了しました。口頭試問が終わり北大のAO入試が終了しました。ホテルに戻り自己採点をしてみると口頭試問を含めて9割弱取れていたので流石に合格を確信しました。

入試終了後から合格発表まで

AO入試が終了し、合格を確信していましたかが、何が起こるかわからないため合格発表までは受験勉強を続けていました。しかしあまり内容が頭に入ってこないため数学がメインになってしまっていました。そして合格発表当日を迎えました。この日は勉強に集中することもできず、学校も冬休みに入っていることから趣味に時間を使いました。合格発表の時間になりWebサイトを見てみると私の受験番号があり、合格が決まりました。

合格後の過ごし方

人より早く合格が決まったので一足早く大学の勉強を始めようと思い東京大学出版会の解析入門I、線型代数入門を買い、読み始めました。大学の数学は高校までの数学とは雰囲気が大きく変わるので何時間もかけてゆっくりと進めていきました。

各問題集、過去問の使い方

それぞれの問題集、過去問の使い方について説明していきます。

月刊大学への数学は記事を読んで新たな知識や解法を身につけて、問題で実践をしていました。

やさしい理系数学は各分野の基礎知識を身につけるために半分くらいの問題を解きました。

大学入試問題解答集は軽い問題演習を兼ねてやさしめの難易度の入試をメインで解きました。

ハイレベル理系数学は得意分野の成長や頻出分野の演習をするために使いました。

新数学演習は難易度が高いので得意分野をより極めるために使いました。

スタンダード演習、オリジナルスタンダードは授業でも使用していたので、授業で解いてない問題を演習として使いました。

一橋大学、東北大、名大、京大の過去問はセットではなく1問ずつ解くことが多かったです。京大以外は前期の問題のみを解きましたが、京大は前期の問題にプラスして特色入試の問題も解きました。これは北大のAO入試が私の年が初めてでどの程度のレベルの問題が出題されるかわからなかったため、もしものために解きました。

東工大の過去問はメインはセットで解きましたが、1問ずつ解くこともありました。

北大の過去問は上でも述べたとおり前期、後期の問題をセットで解きました。北大に関しては問題を1問ずつノートに貼り、そのノートに解答を書くことで自分の解答を持ち歩けるようにしました。

解けない問題に遭遇したとき

私はセットで問題を解いているときを除いて、解けない問題に遭遇したときはすぐには解答をみずに一度他の問題を解きながら考えることがしばしばありました。この習慣を身につけることで問題に対する執念が強くなり、それに伴い点も取れるようになると思います。ただ本番はある程度の見極めが必要な場合があるので注意が必要です。

問題を解くときに意識すること

まず、分野を問わず意識していることは、大変そうな計算も恐れずにやることです。これを意識すると、本番計算が重そうになったとき、どれくらい時間がかかりそうかがわかり、また計算ミスを減らすことができます。また合格するためには、解けない問題でも部分点を狙いにいくことが大事です。部分点をもらうために少しでも多く記述することで合格点に達することも往々にしてあるのでこれは本当に大事にした方が良いです。

分野別で意識したこと

確率

漸化式が必要な確率の問題ではまず可能な限りたくさん漸化式を立てることを意識するのが良いです。たくさん立てると複雑になってしまうように感じますが、これをすることでしっかり条件を網羅することができます。また、個々の漸化式を比較することで少しずつ式の本数を減らしていけるのでこのような心がけは良いことばかりであると思います。

漸化式のない確率の問題では、対称性に注目して、同様に確からしい状況をみつけることが大事になります。そのまま解こうとしたら無駄に大変になってしまうことがよくありますが、同様に確からしい事象を見つけることができれば、単純な計算によって答えが求められることがよくあります。ただ、ここで注意したいのがそれらの事象が本当に同様に確からしいか確認することを怠らないようにすることです。ぱっと見同様に確からしくてもそうならないことがあるからです。

数列

数列の問題(特に漸化式を解くタイプの問題)では、いかに自分の見たことのある形に持っていくかが大事です。数列の置き換えはやや慣れが必要になってくるので、漸化式の問題をたくさん解くことをおすすめします。

積分

積分の問題では、部分積分、置換積分のいずれかを使うことにより、よく知られた積分の問題にすることが大事になります。この見極めは間違えると全然解けないことがあるので、もし詰まったら異なるやり方も実行することが大事です。これも漸化式と同様、たくさん問題を解くことでパターンを身につけることをおすすめします。

整数

整数の問題では様々なタイプの問題がありますが、大体の問題は(素)因数分解、合同式、数学的帰納法によって解くことができます。まず、(素)因数分解の例は、pを素数、fを整数値関数としたとき、p=f(x)となる整数x、素数pの組を求める問題があります。この種の問題は、f(x)を因数分解して、片方がp(-p)、もう片方が1(-1)になることに注目することで解くことができます。合同式を使う問題の例は、整数a,b,cがa^2+b^2=c^2を満たすとき、a,bの少なくとも一方は3で割り切れることを示す問題があります。この問題はmod3とすることにより解けます。数学的帰納法の問題は、n-1とnの間に関係がある問題でよく使えます。

証明

証明の問題では、いかに穴がなく議論ができているかが大事になります。ここで集合を意識すると、この議論のところで穴を少なくすることができます。

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